「液剤の粘度が安定しなくて、塗布品質にばらつきが出てしまう…」
「季節や作業環境によって吐出量が変わってしまい、歩留まりが悪い…」
製造現場で液剤の精密塗布を担当されている方なら、一度はこのような課題に直面したことがあるのではないでしょうか。特に、温度や液剤のロットによって粘度が変化しやすい材料を扱う場合、安定した塗布を実現するのは至難の業です。
こんにちは。SEOコンサルタントの通成です。私は普段、企業の技術情報や専門知識を、より多くの人に分かりやすく届けるためのコンテンツマーケティングを支援しています。その中で、製造業のお客様から「自社の高度な技術を、どうすれば的確に伝えられるか」というご相談を頻繁に受けます。
この記事では、そんな製造現場の長年の課題である「粘度変化」に真正面から向き合い、安定した塗布を実現するための強力なソリューションとして「容積計量ディスペンサー」に焦点を当てます。この記事を読めば、なぜ容積計量ディスペンサーが粘度変化に強いのか、その仕組みから具体的な活用方法、そして安定塗布を実現するための考え方まで、深くご理解いただけることでしょう。
Contents
そもそも容積計量ディスペンサーとは?
容積計量ディスペンサーとは、その名の通り「液剤を一定の容積(体積)で計量し、吐出する」装置です。従来のディスペンサーの多くが、時間と圧力を制御して吐出量を調整する「タイマープレッシャー方式」であるのに対し、容積計量方式は根本的にアプローチが異なります。
従来方式との決定的な違い
タイマープレッシャー方式と容積計量方式の主な違いを以下の表にまとめました。
| 方式 | 制御方法 | 粘度変化への影響 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| タイマープレッシャー方式 | 時間と圧力で吐出量を制御 | 受けやすい | 構造がシンプルで安価。粘度が変化すると吐出量も変動しやすい。 |
| 容積計量方式 | プランジャー等の移動量で物理的に計量 | 受けにくい | 粘度や供給圧力の変動に強く、常に一定量を吐出できる。高精度。 |
タイマープレッシャー方式は、いわば「蛇口をひねる時間と水圧」で水の量を調整するようなものです。粘度が低い(サラサラな)液体であれば安定しやすいですが、粘度が高い(ドロドロな)液体や、温度によって粘度が変わりやすい液体の場合は、同じ設定でも出てくる量が変わってしまいます。
一方、容積計量方式は「計量カップ」で毎回きっちり測ってから注ぐようなものです。液体の状態が多少変化しても、計量カップの容積は変わらないため、常に同じ量を供給できます。この物理的な計量こそが、容積計量ディスペンサーが誇る安定性の源泉なのです。
なぜ「粘度変化」が塗布品質の天敵なのか
安定塗布を阻害する最大の要因、それは「粘度変化」です。粘度が変わると、具体的にどのような問題が発生するのでしょうか。
温度による粘度変化
多くの液体は、温度が上がると粘度が下がり(サラサラになる)、温度が下がると粘度が上がります(ドロドロになる)。製造現場では、季節による室温の変化、朝晩の温度差、装置自体の発熱など、様々な要因で液剤の温度は変動します。これにより、意図せず吐出量が増減し、塗布不良を引き起こします。
液剤ロット間のばらつき
同じ製品であっても、製造されたロットが異なると、物性にわずかなばらつきが生じることがあります。このロット間の粘度差が、吐出量のばらつきに直結し、品質管理を難しくする一因となります。
こうした粘度変化は、以下のような塗布品質の低下を招きます。
- 塗布量の過不足:部品の接着不良や、機能不全の原因となります。
- 塗布形状の乱れ:線幅が太くなったり細くなったり、ドット径が安定しなかったりします。
- 糸引き・タレ:塗布後に液剤が意図しない形状になることで、外観不良や汚染につながります。
これらの問題は、製品の歩留まりを低下させ、生産コストの増大に直結する深刻な課題です。
粘度変化に打ち勝つ!容積計量ディスペンサーの強み
では、なぜ容積計量ディスペンサーはこれらの粘度変化に強いのでしょうか。その秘密は、主に「プランジャーポンプ」に代表される独自の吐出メカニズムにあります。
強み①:プランジャーポンプによる物理的な計量
多くの容積計量ディスペンサーで採用されているのが、注射器のような構造を持つ「プランジャーポンプ」です。プランジャー(ピストン)がシリンダー内を一定量移動することで、その体積分の液体を物理的に吸い込み、そして押し出します。この方式の最大の強みは、吐出量がプランジャーの移動量(ストローク)によって厳密に決まるという点です。
液剤の粘度が多少変わろうとも、プランジャーが押し出す体積は変わりません。そのため、常に安定した定量吐出が可能になるのです。
強み②:驚異的な吐出精度
容積計量方式は、その原理から極めて高い吐出精度を実現します。例えば、グローバルな液体ディスペンス技術のリーダーであるノードソンEFDの容積式塗布システムは、±1% という驚異的な精度と再現性を謳っています。これは、タイマープレッシャー方式では達成が困難なレベルの精度であり、精密な塗布が求められる電子部品や医療機器の製造において絶大な信頼を得ています。
強み③:幅広い粘度への対応力
容積計量ディスペンサーは、低粘度のサラサラな液体から、100,000mPa・sを超えるような高粘度のペースト状の材料まで、非常に幅広い粘度に対応できます。これは、液剤を吸い込むだけでなく、高い圧力で確実に押し出すことができるプランジャーポンプの構造によるものです。例えば、2液混合型の複雑な塗布が必要な場合でも、2液型ディスペンサを活用した精密な塗布により、粘度や混合比の変化に左右されない安定性を実現できます。粘度の壁に阻まれて適用を諦めていた材料も、容積計量ディスペンサーなら安定塗布できる可能性が広がります。
「温度管理」との組み合わせで、安定性は新たな次元へ
容積計量ディスペンサーは単体でも非常に強力ですが、「温度管理」の考え方を組み合わせることで、その安定性をさらに極限まで高めることができます。
粘度ムラ対策の基本は「温度ベース」
塗布ムラをなくすための専門家は、粘度管理の基本は「温度ベース」で行うことの重要性を指摘しています。
粘度は温度の影響を強く受けるため、温度を制御すれば粘度ムラの大半は抑制できます。(研磨ラボ「塗布ムラをなくすための実践テクニック10選」より引用)
具体的には、以下のような温調機器をディスペンサーと組み合わせることで、より積極的な粘度コントロールが可能になります。
- 加熱式温調:高粘度の液剤を温めて粘度を下げ、吐出しやすくします。冬場の寒い環境でも、夏場と同じ条件で塗布することが可能になります。
- ペルチェ式温調:加熱だけでなく冷却も可能なため、液剤を常に一定の温度に保つことができます。外部の温度変化や液剤の自己発熱の影響を完全に遮断し、究極の安定性を追求する場合に非常に有効です。
インライン粘度測定という選択肢
さらに高度な制御を求めるなら、「インライン粘度測定システム」を導入する方法もあります。これは、生産ライン上でリアルタイムに液剤の粘度を監視し、変化があれば自動で補正を行うシステムです。これにより、人の手を介さずに、常に最適な状態で塗布を続けることが可能になります。
安定塗布を実現するための「考え方」
最高の装置を導入するだけでは、安定塗布は実現しません。重要なのは、自社の課題を正しく理解し、装置の特性を最大限に引き出すための「考え方」です。
ポイント①:課題の明確化
まず、「何が原因で塗布が安定しないのか」を明確にしましょう。
- 温度変化が主因か? → 温調機器の導入を検討
- 液剤のロット差が大きいか? → 容積計量方式が特に有効
- そもそも要求精度が高いのか? → 高精度な容積計量ディスペンサーが必須
ポイント②:特性の理解とテスト
導入を検討しているディスペンサーの特性を、メーカーの技術資料やウェブサイトで深く理解しましょう。特に、対応粘度範囲や吐出精度のスペックは重要です。多くのメーカーでは、実際の液剤を使った塗布テストに対応してくれます。自社の材料でどの程度のパフォーマンスが出るのかを、必ず事前に確認することが成功の鍵です。
ポイント③:運用体制の構築
装置の性能を維持するためには、日々のメンテナンスや定期的な校正が欠かせません。誰が、いつ、何を行うのか、明確な運用ルールを定め、現場に定着させることが重要です。
まとめ
液剤の粘度変化という、長年にわたり製造現場を悩ませてきた課題。それに対する最も確実で強力な答えの一つが、「容積計量ディスペンサー」です。
- 物理的に体積を計量することで、粘度変化の影響を根本から断ち切る
- ±1% という驚異的な精度で、精密塗布の要求に応える
- 温度管理と組み合わせることで、さらに盤石な安定性を手に入れる
もし、あなたが今、塗布品質のばらつきに頭を悩ませているなら、一度「容積計量」というアプローチを検討してみてはいかがでしょうか。それは、単なる装置の入れ替えではなく、生産性と品質を新たなステージへと引き上げるための、戦略的な一手となるはずです。




